多くの魚の名前と同様、「マス」は非常に一般的に使われる用語で、さまざまなサケ科の魚種を指すことがあり、ご想像通り、サケを含むサケ科に属します。

当然のことながら、サケとマスは近い関係にあるためASCでは養殖される環境により区別して、淡水であれば淡水マス基準、海水であればサケ基準が適応されます。

これは、認証の観点から完全に理にかなっています。というのは、ASCの厳格な要件を維持しながら、養殖場に有益なプログラムの有効性を向上させることができるためです。この記事の目的としては、話をあまり難しくせず、あるひとつの魚種に絞ってお話しましょう。その魚とは、養殖マスのなかでも最も人気があり、虹色の婚姻色にちなんでニジマスと呼ばれるマスです。

天然のマス

とはいえ、この1種をもとに一般論を述べることもあまりできません。ユーモラスなラテン名でOncorhynchus Mykissと呼ばれるニジマスには、2つの種が存在しています。1つは淡水魚。字の通り、説明を要さないでしょう。もう1つは遡河魚。小難しい表現ですが、要は、淡水と海水の両方で一生を過ごす魚のことです。すでに見てきたように、マスが海水で養殖されている場合は、ASCサケ基準の対象となります。

遡河性のニジマスはサケと同様のライフサイクルを経ます。つまり、淡水の渓流で誕生し、海に移動し、2、3年後には自分の生まれた川で産卵するために、川の上流へと壮大な旅をします。ただ、淡水のニジマスも見過ごしてはなりません。こちらも長距離を移動して産卵場所に到達することがあります。

ニジマスは北米の太平洋海域が原産ですが、1874年以降、北半球全体の海域や、オーストラリア、南米、アフリカ周辺などの温暖な海域にも持ち込まれ、さまざまな条件で適応して生息地を広げてきました。

マスの養殖

こうした適応性により、マスは養殖用の魚として非常に人気が高く、長年にわたって養殖されてきました。ただ、19世紀に最初に養殖されたものの、大規模な商業的養殖は20世紀後半になるまで広がりませんでした。

2018年には、養殖生産量全体の約2%に相当する約85万トンのニジマスが養殖されました。遡河魚であることから、マスは淡水と海水の両方で養殖されており、養魚池、ネットペン、そしてさらに最近ではRAS(閉鎖循環式)といった多くのシステムが使用されています。生産の大部分は淡水で行われており、トップ生産国はイランとトルコですが、ヨーロッパ、チリ、ノルウェーも生産が高く、国内でも養殖されています。

マス養殖の負荷

マス養殖は、他の魚の養殖と同様の影響を及ぼす可能性があり、特殊項目を含め、すべてがASC基準の対象となっています。ここでは、ASC基準の対象となるいくつかの影響のごく一部をご紹介しましょう。

水質

マスは適応性が非常に高い魚ですが、その福祉には良好な水質が不可欠です。これはASC認証要件でもあります。水質は、魚が単に生き延びるだけでなく、快適に過ごすのに必要な条件を備えているかどうかを表すもので、溶存酸素は特に的確な指標となります。ただ、マスの福祉のみならず、養殖場の周辺水域の生物多様性に影響を出さないようにするためにも、その他の指標も重要となります。ASC認証のマス養殖場は、さまざまな水質指標に加え、リンのレベルを含めた溶存酸素を定期的に測定し、設定された制限内にとどめなくてはなりません。良好な水質を確保するために、養殖場は、生物学的および非生物学的廃棄物を適切に処分する必要があります。

水の使用

これまで見てきたように、マスの養殖にはさまざまな形態があります。中には、陸上のRAS(閉鎖循環式)養殖場など、常に淡水供給を必要とするものもあり、川のような表層水、あるいは井戸などの地下水や水道水を最適化して利用されます。ASCマス基準には双方についての要件が含まれており、養殖場がこうした重要なに与える影響を最小限に抑えられるようになっています。

逃亡魚

逃亡したマスは、病気を広めたり、生息地や食糧を求めて天然魚と競い合ったり、異種交配により、天然の個体群の遺伝子構造に影響を及ぼしたりする可能性があります。ASC認証のマス養殖場は、逃亡リスクを減らすための対策と効果的な管理技術を導入しなくてはなりません。ただ、透明性と信頼性の維持も重要であるため、養殖場は定期的かつ正確に魚を数え、逃亡した場合は、この情報を公開する必要もあります。これにより、地域社会やその他の利害関係者との信頼関係を築けるだけでなく、状況を見極めることができます。

魚の健康

ASC認証のマス養殖場は、魚の健康を維持するために尽力する必要があります。魚の福祉が大切であるだけでなく、病気の予防が、近辺の天然個体群を保護するためには極めて重要だからです。このため、包括的な養殖場管理計画が不可欠で、定期的な更新が必要となります。バイオセキュリティ、魚の健康計画、危機管理などに善処しなくてはなりません。

社会的責任

社会的責任はマスに固有のものではありませんが、いずれにしても非常に重要で、すべてのASC基準にとって必須項目です。ASC認証のマス養殖業者は、社会的に責任のある方法で養殖場を運営する必要があります。労働者に適切な健康および安全に関するトレーニングを提供し、公正な支払いと待遇を提供しなくてはなりません。これはまた、地域社会の良き隣人となり、積極的に地域社会とコミュニケーションを図ることにもつながります。

マスの調理法

マスは、多様な方法で調理できる万能の魚です。レシピページでお勧め料理を試してください。

養殖の基本

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