Farming and eating seabream responsibly
3月 28, 2023
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- 水産養殖が重要な理由
- 責任ある水産養殖が必要な理由
責任を持って養殖して食べるタイ
消費者には水産物の生産方法を知る権利があるという理念をASCでは掲げていますが、普段、口にする魚についてさらに少し学ぶことも重要でしょう。ここでは、さまざまなASC基準についてのみならず、それに関連する魚についても説明します。天然魚としてどこに生息し、どのような行動を取っているか、どのように養殖されるのか、そして、もちろん、調理方法についてのヒントもいくつか紹介します。
まず、スズキ、オオニベと並んで、昨年、ASC基準で初めて認証されたタイについての説明から始めましょう。2020年には、ギリシャとトルコの2箇所の養殖場が同時に認証されました。それ以来、さらに多くの養殖場が認証され、ASCロゴのタイがますます多くの店で見られるようになっています。では、皆さんは、この魚についてどのくらいご存知でしょう?
日本では魚といえば“タイ”といわれるほど中心的な存在で、その鮮やかな体色から祝い膳には欠かせないおめでたい魚です。
天然のタイ
調理の点から言えば、タイは、驚くほど広範囲に使える食材です。オーブン焼き、フライ、蒸し物、グリル焼きなど、シンプルな地中海料理の一皿として、あるいは、インド風味の料理として、いずれの調理法でもおいしく味わえます。
タイは自然界でも非常に広範囲に存在しており、地中海全体に生息するのみならず、イギリスからセネガルまでの大西洋東部沿岸や、さまざまな海洋環境で見かけることができます。
タイには数多くの種類がいますが、最も頻繁に養殖されているのがヨーロッパヘダイ(Sparus Aurata)です。このタイはスズキ目の魚です。海洋生物学者でない私たちは、単に スズキ目 に属する魚類だと覚えておくだけで十分でしょう。スズキ目とは硬骨魚が形成するかなり広範囲なグループで、約1万種の非常に多様な魚種を含みます。スズキとオオニベもスズキ目で、スズキとは多くの共通点があることから、同じASC基準の対象となっています(また、レシピでは、相互に代替品として使うことができます)。
タイの生息地域としては、藻場、岩礁、砂地、沿岸のラグーン、河口などがあります。かなり適応性の高い魚種で、摂氏12度から30度までの非常に幅広い温度範囲に耐えることができます。ただ、地中海の魚種であることからも想像できる通り、低温にはより敏感で、サケとは違い、スコットランドの湖で見つかることはまずないでしょう。タイは水質にも敏感です。幸い、ASCスズキ・タイ・オオニベ基準には、良質の水を測定および維持するための要件が含まれています。
幼魚はプランクトンをエサとし、大人になると肉食性となって、通常は軟体動物、甲殻類、その他の無脊椎動物を捕食します。ただ、適応性があり、必要に応じて海草を食べることもあります。タイの集団には序列があり、他の魚より力の強い魚が真っ先にエサを捕食しようとします。また、とても興味深いことに、雌雄同体でもあります。非常に退屈で味気ない科学的な名称ではありますが、オスとして機能する体で生まれながら、その後、メスに性転換します。
タイの養殖
スズキ同様、タイの養殖は、地中海、特にトルコとギリシャで非常に重要な産業になっています(2018年、トルコの生産量は77,000トン。ギリシャは56,000トンを生産しました。)
日本で2番目に養殖生産量の多いのがマダイで、平成30年海面漁業生産統計調査によると、国内の養殖マダイ収穫量は約6万トンで、主な収穫地は愛媛県、熊本県、高知県です。
では、最初に養殖が始まったのはいつだったのでしょう?
多くの養殖の場合と同様に、タイの養殖も、幼魚を捕獲して飼育することから始まりました。主にイタリア北部とスペイン南部の沿岸にあるラグーンや汽水養魚池で行われていましたが、1980年代に初めて、飼育下での繁殖に成功し、技術の進歩に伴い、ライフサイクル全体を養殖場で管理できるようになりました。
この魚が雌雄同体であるという事実は、興味深いだけではなく、当然のことながら、飼育下繁殖を複雑化し、技術的に精巧な孵化場と慎重な管理を必要とします。
タイ養殖の負荷
タイ養殖は、他の魚の養殖と同様の影響を及ぼす可能性があり、特殊項目を含め、すべてがASC基準の対象となっています。ここでは、ASC基準の対象となるいくつかの影響のごく一部をご紹介しましょう。
デリケートな生息地
タイは、主に地中海地域で養殖されており、これらの海域にはいくつかの海草種が生息しています。これら海草の生息する藻場は、食糧、避難所、苗床を数多くの生き物に提供する極めて重要な生態系で、養殖場が不適切に配置されたり管理されたりすると、こうした重要な生息地に影響を与えることになります。ASC認証のタイ養殖場は、保護地域や藻場から500メートル以内に設置することはできません。また、生物多様性への影響評価を実施する必要があります。
水質
タイは水質に敏感であるため、水質は、この魚が単に生き延びるだけでなく、快適に過ごすのに必要な条件を備えているかどうかを表す指標となります。溶存酸素レベルは特に的確な指標です。ただ、タイの福祉のみならず、養殖場の周辺水域の生物多様性に影響を出さないようにするためにも、その他の指標も重要となります。ASC認証のタイ養殖場は、さまざまな水質パラメータに加え、リンと銅のレベルを含めた溶存酸素を定期的に測定し、設定された制限内にとどめなくてはなりません。良好な水質を確保するために、養殖場は、生物学的および非生物学的廃棄物を適切に処分する必要があります。
二酸化炭素排出
タイは、他の水産物と同様に、二酸化炭素排出量の少ない、環境にやさしい肉の代替品となりますが、どの食糧生産にもフットプリントがあるため、ASC認証の養殖場も、これに対処するためにできる限りのことを行う必要があります。すなわち、エネルギー使用量の評価を実施して、使用した飼料により生成された二酸化炭素排出量を含む、温室効果ガスの排出量を記録しなくてはなりません。
社会的責任
これはタイに固有のものではありませんが、いずれにしても非常に重要で、すべてのASC基準にとって必須項目です。ASC認証のタイ養殖業者は、社会的に責任のある方法で養殖場を運営する必要があります。労働者に適切な健康および安全に関するトレーニングを提供し、公正な支払いと待遇を提供しなくてはなりません。これはまた、地域社会の良き隣人となり、積極的に地域社会とコミュニケーションを図ることにもつながります。
タイを使った料理
タイの食べ方には沢山の選択肢があります。スズキのレシピの代替品にすることも可能です。レシピのページには、タイを含め、さまざまなASC認証種の調理法を沢山載せています。ASCロゴを探すのをお忘れなく!