Mangroves
3月 28, 2023
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マングローブ
マングローブとは?
マングローブは単一種の植物ではなく、熱帯や亜熱帯の海岸地域に生育する高木や低木の総称です。マングローブの絡み合った根は地上や地下に伸び、鬱蒼とした茂みとなって多様な植物や動物の生息場所となっています。
マングローブ林は食料安全保障、貴重な木材生産、海岸浸食の制御を実現する世界で最も生産性の高い生態系であり、地球上で最も効率的かつ重要な炭素貯蔵庫の一つです。
マングローブはどこに生息しているのですか?
マングローブは塩生植物です。すなわち、塩分濃度の高い水域に生育する耐塩性の植物です。世界の植物のうち、塩生植物はわずか2%を占めています。
マングローブは汽水域(海水と淡水の混ざり合うところ)や、泥が多く含まれる土砂の中で特によく育ちます。また、水分の蒸発により海水濃度が高くなっている場所でも生き延びることができます。
マングローブは世界の赤道付近の地域に見られます。最大の生育地であるインドネシアでは、2万3千平方キロメートル(1万4千平方マイル)の土地をマングローブの木が覆っています。
しかし、地球の平均気温の上昇に伴い、マングローブの生息場所も赤道付近から範囲を広げ始めています。
なぜそれほどマングローブが重要なのですか?
2011年にネイチャー・ジオサイエンス誌で発表された研究によると、マングローブは成熟した熱帯雨林の4倍もの二酸化炭素を吸収し、炭素として根に蓄えることができます。そのため、マングローブは極めて貴重な天然資源であり、気候変動対策の鍵となります。
マングローブの根によって形成された水中の生息環境は、絶滅の危機に瀕している数千種類の多様な海洋生物に不可欠な生育環境を提供しています。そうした海洋生物には、藻類、海綿動物、サメ、魚類、爬虫類、カニやエビといった甲殻類や軟体動物があります。興味深いことに、科学者は世界の漁獲量の80%がマングローブ林に直接または間接的に依存していると推定しています。
地元で見られる鳥や渡り鳥の数多くの種がマングローブの木を採食場や営巣地として利用し、大きな動物は獲物を探すために生息場所を利用しています。例えば、インドのスンダルバンスのマングローブ林ではトラが生息し、狩りをしています。
密に絡み合った根は、土砂や重金属などの汚染物質を捉えるのに効果を発揮し、水質維持には欠かせません。マングローブは波のエネルギーを分散させることで自然のバリアを形成し、海面が上昇している地域の海岸線を浸食や洪水から守ります。根が張ることで、隣接するサンゴ礁や藻場が堆積物によって窒息するのを防ぐこともできます。
マングローブは地域の村落にとっても重要であり、漁師や農民は家族の食料、建築資材、燃料、薬の材料などを自然環境に頼っています。
なぜマングローブを保護する必要があるのですか?
マングローブは世界の森林の0.4%にも満たないのですが、アマゾンなどの森林に比べて3~5倍の速さで消滅しています。
マングローブに対する脅威は、観光や住宅のための無秩序な沿岸開発、特にエビの養殖、木材や燃料のための伐採などです。また、除草剤の使用やプラスチックの廃棄などにより自然水域が破壊・汚染されるにつれて、マングローブの生態系全体が損なわれてしまいます。
ASCはどのような支援をするのですか?
マングローブはエビ養殖地域によく生息しており、ASC(水産養殖管理協議会)はASCエビ養殖基準に生息場所が確実に維持されるよう特別規定を盛り込んでいます。これにより、世界中のエビに対する消費需要の高まりが、世界の最貧国での湿地帯の破壊による環境危機を助長しているという認識を覆すことができます。
ASCが特に注目しているのは、ベトナム、エクアドル、インドネシア、ホンジュラス、グアテマラ、ベネズエラ、タイ、メキシコ、インドなどASC認証のエビ養殖場が位置している国のマングローブ生態系です(2021年)。
エビ養殖基準では生態系を守るため、エビ養殖場の土地を目的としたマングローブ林の伐採を禁止しており、認証条件としてマングローブの再植林を義務付ける場合があります。エビ養殖場の周辺地域への影響を最小限に抑える必要があり、プラスチック廃棄物の処理や水質監視に関する必要条件もあります。
重要なことは、そこで働く人たちが本来の自然環境を認識し維持するよう訓練を受ける必要があることです。なぜなら、健全なマングローブ生態系によって健全なエビ養殖を行い、健全な製品を消費者に提供できるようになるからです。
ASCは養殖場を超えて影響力を広げており、マングローブ林の管理・維持に対する経済的インセンティブをエクアドルの地域社会に与える事業にも着手しています。コンサベーション・インターナショナルと共同で行う同事業は、地域に教育と資金を提供し、マングローブ破壊の背景にある経済的誘因に取り組むことを目的としています。