「ブルーフード」とは?人類の未来に不可欠な理由は?
6月 25, 2024
皆さんは「ブルーフード」という言葉を聞いたことがありますか?科学的には、水から得られるあらゆる食物を指す用語として使われており、魚、水産物、および海藻が含まれます。さらに、天然水産物と養殖水産物、両方を含みます。
ブルーフードは、現在33億にのぼる世界中の人々にとって不可欠な栄養素であり、世界人口の約10~12%に雇用機会を創出しています。* しかし、ブルーフードはさらなる可能性を秘めています。実際、国連は、「食料安全保障の実現、栄養失調の終息、健全性と自然を尊重する強靭な食品システムの構築において、ブルーフードが本質的な役割を果たす」と確信しています。**
このブログでは、将来ブルーフードが非常に重要となる2つの主要な理由について詳しく述べると共に、水産養殖管理協議会(ASC)がブルーフードの責任ある持続可能な養殖にどのように貢献しているかをお伝えします。
人口の増加に対する食糧供給
水産物の摂取が人体の健康に良い影響をもたらすことは、既によく知られています。水産物は良質のタンパク質を供給し、心臓の健全性、身体組織の修復、脳の発達、免疫系の健康維持といった活動を支えます。それに加えて、細胞機能を促進し、炎症を軽減するオメガ3脂肪酸、オメガ6脂肪酸を提供します。また、神経、骨、脳の健康に必要なビタミンA、D、B12も含まれています。水産物が提供するさまざまな栄養素については、こちらで詳しく学ぶことができます。
前述の通り、33億人もの人々が、すでに水産物をタンパク質源として利用しています。世界人口が着実に増加しているため、水産物への依存も増加すると予測されています。これは、水産業への需要も増加し続けることを意味します。
現在、天然水産資源の33%が生物学的限界に達しています。これは、需要に見合うだけの速さで再生できないほど、水産物が漁獲されていることを意味します。つまり、天然の魚や漁獲漁業が、拡大する人口のニーズを満たすことができなくなるということです。
これに比べて、水産養殖業は近年急速に成長しており、ニーズを満たすために拡大し続ける能力を持っています。このため、この増加する人口をいかに持続可能で手頃な方法で養うかを計画する際に、責任ある水産養殖が重要な役割を担うに違いないと国連は確信しています。**
環境影響の軽減
私たちが選択し消費する食品は、個人レベルでの二酸化炭素排出量に大きな影響を与えています。食品が生産される際に何がいるのかを考えるにあたり、使用される土地や水、生成される温室効果ガス排出量、収穫方法、加工、包装、および冷蔵などを考慮する必要があります。こういった要素のため、昼食ひとつとっても、生産場所から食卓への過程でかなりの二酸化炭素排出量が累積します。
私たちがするべき事とは、何でしょうか?一言で言うなら、私たちは、日常の食事が地球に与える影響を軽減することができます。それは、環境や社会への影響を最小限に抑え、持続可能な生産方法で作られた食品を食べることに焦点を当てることから始まります。***
これは、他の動物性タンパク質よりも 二酸化炭素排出量が低いブルーフードを選択すると言うことでもあります。例えば、養殖サーモンの二酸化炭素排出量は、骨なし牛肉に比べわずか5%未満です。このように選択を変えることによって、私たちの食生活が環境に与える影響を簡単に軽減することができます。****
ブルーフードの二酸化炭素排出量は、大地から得られる食物と比較して著しく低いため、 農産物よりも水産養殖業の拡大を優先することは理にかなっています。ブルーフードは、 農産物の拡大に伴う環境への影響を抑えながら、増加する人口のタンパク質需要をより持続可能な方法で満たすことができます。
水産養殖業が持続可能かつ責任ある業界であり続けるためには?
水産養殖業が拡大し、ブルーフードへの需要が増加するに伴って、無責任な慣行が発展する可能性があることは明らかです。無規制の養殖場で行われている慣行を懸念する声が、水産物好きからよく届きます。
ASCの存在意義はここにあります。水産養殖における透明性が確保され、環境および社会的責任を養殖業者が真剣に受け止めるよう支援することを、ASCは目指しています。私たちの目標は、水産物好きのニーズを、持続可能かつ責任ある方法で長期間にわたって満たすための業界内の慣行を確立することです。
ASC基準は、世界で最も厳格であり、最新の科学に基づいています。このため、ASCのラベルを使用する全ての養殖場は、一連の規則に従わなければなりません。これには、養殖魚、養殖場の従業員、現地の環境、養殖場自体の存在に影響を受ける地域社会への配慮が含まれます。
この方針により、養殖場は、自然環境を犠牲にすることなくブルーフードの需要を満たすことができるだけでなく、全ての人々が考慮された環境や 地域社会を具現できます。そして更には、次世代の水産物好きが、持続可能性を考慮し責任を持って養殖された水産物を安心して楽しむことができるようになります。
ASCについてさらに詳しく知りたい場合は、ぜひInstagramをフォローしてください。
*FAO「世界漁業・養殖業白書」
*** Healthline「持続可能な食事とはどのようなものか」
**** The Fish Site「養殖業の二酸化炭素排出量の評価」