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「水産養殖の変容」ASCが初の年次報告書を発表

4月 21, 2023

水産養殖管理協議会 (ASC) は、初の年次報告書「水産養殖の変革」で2021年を振り返り、最初の養殖場がASC認証を取得してからの10年を省察しました。

2021年、ASCは、認証制度の持続的成長に懸命に取り組み、ASC認証のアクセシビリティ(円滑に利用できる度合い)を向上させ、既存市場における存在感を維持するかたわら新規市場への拡大を遂げ、2万を超えるASC認証製品を消費者の手に届けることができました。

ASCのCEOであるクリス・ニネス氏は、「初の年次報告書を発行できたことを嬉しく思います。責任ある水産養殖への関心が世界中で高まっていることを祝い、継続的な進歩を目指す私たちの責任を再確認しています」と述べています。

「2021年は、当組織の制度とASCラベルの付いた製品を引き続き促進するASCの革新に取り組む一方で、支持してくれる人に声を届け、システムの改善を推進し、組織に投資する新しい方法も見つけました。」

ASCのインパクト責任者のジル・スワジー氏は、「ASC初の年次報告書を通じて、長年にわたるASCの成長と発展を明確に示し、責任ある水産養殖に対して当組織が果たしてきた影響と貢献を評価したいと考えています」と述べています。

養殖場から食卓までの改善を推進

ASCでは現在、世界的に養殖されている魚や海藻を対象に11魚種の養殖場基準と、ASC-MSC共同海藻基準を管理しています。現在世界中で49魚種に及ぶ約2,000カ所の養殖場がASC 認証を取得しています。

2021年、認証取得済み養殖場の数は前年から20%増加し、ASC認証基準の定める社会的責任と環境の持続可能性の要件を満たした水産物の生産量は世界で250万トン以上に達しました。同年、ASC認証の養殖場は、11の魚種基準をもとに環境パフォーマンス(1,800件)、社会的責任(893件)、法令順守(87件)の分野で2,780件の改善を行いました。

今後の発展を見据えて、最近発表したASC飼料基準では、養殖場以外への影響にも対処し、水産飼料を製造する飼料工場に加えて、飼料原料の供給業者や原料生産者にも持続可能な要件を満たすよう指示が出されています。

責任を持って生産される水産物への需要の高まり

2021年の終わりまでに、ASC認証製品の入手可能性は前年に比べて10%増加し、2万を超えるASCラベル付きの製品が消費者に提供され、27万5,000トン以上が販売されました。ASC表示製品の重量の70%を占めるサケとエビについては、世界の小売市場から購入を希望する声が続々と寄せられました。さらには、マス、スズキ、タイなど、他の重要な地域独自の魚種にも需要が高まっています。南ヨーロッパの市場では、ASCラベルの付いた製品がかなり受け入れられ、主要魚種を米国や英国の市場に導入することについて戦略的に焦点が当てられるようになりました。

効果的な対話と物語を綴る力による認知度の向上

2021年にASCは、イベント、コンペ、プロモーション、試食会を主催し、230を超える営利および非営利パートナーとの協力により、魅力ある啓蒙活動を実施して、消費者に関心を高めてもらいました。パートナーの中には、小売業者、魚の卸売業者、鮮魚店、著名な銘柄を有する企業、レストランやファーストフードチェーン店、NGO、動物園、水族館、博物館などが含まれます。

枯渇した魚資源を立て直し、漁業と養殖による環境的および社会的影響を軽減することを目指す非営利団体の「持続可能な水産業の協力関係 (Sustainable Fisheries Partnership)」のプログラムディレクター、デイブ・マーティン氏は次のように述べています。「過去数年にわたってASCと協力し、責任ある水産養殖をどう相互補佐できるのか、特に水産養殖をどう改善するのかという点を模索できた、貴重で有益な工程でした。」

制度保証による信頼の強化

2021年には、認証機関により審査が67回実施されました。定義された目標領域の92%を網羅し、かつ、事例に対応する内容です。ASC認証に対応する認証機関も14に増え、今では、ASCの厳格な環境的および社会的要件に照らして養殖場を審査する資格を持つ審査員は、世界中に184人います。

国際連合食糧農業機関の 2022年度「世界漁業・養殖業白書 (SOFIA)」で指摘されている通り、水産物の需要の増加、その価値の高さ、そして、サプライチェーンの複雑さにより、詐欺の危険が現実のものとなっています。ASCが実施する制度保証業務は、革新的な技術を使用して、これらのリスクに対処することを目的としています。たとえば、微量元素フィンガープリンティング(TEF)を使えば、既知のサンプルのデータベースに照らして製品を検査することで、供給元の養殖場までの製品のトレーサビリティ(追跡可能性)を得られます。

フィードバックによる改善

2021年、ASCは、ASC養殖場基準、CoCモジュール、魚の福祉、および飼料認証要件という4つの重要な制度の改善点について、パブリックコンサルテーションを実施しました。コンサルテーションでは、利害関係者代表の包括的な参加目標を達成できました。今後はすべてのASC認証魚種にわたって、生産者の参加をさらに改善することを目指しています。35か国の300を超える利害関係者(組織および個人)に、ASCのコンサルテーションを通じてフィードバックをもらいました。

継続的な進歩

「私たちは、継続的に改善を行い、制度を開発し、組織の使命を支える意識を向上できると期待しており、今後数年、毎年の進捗状況を実証できることを楽しみにしています」とニネス氏が締めくくっています。

2021年度の年次報告書はこちらからご覧いただけます

 

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