二件の基準更新により、ASCがプログラムの潜在的効果を拡張
4月 28, 2022
ASCエビ基準の改訂版、及び、閉鎖循環式(Recirculating Aquaculture System : RAS)養殖場専用となる新しい要求事項を発表しました。
エビ基準の改定により、新しいエビの種属が基準に追加されました。これにより、淡水ザリガニと淡水エビの養殖業者の方々と共に、責任ある養殖のための厳格なASC要求事項に取り組むことができるようになりました。RAS(閉鎖循環式)養殖用の要求事項は、世界中で人気が高まっているこの養殖方法がかかえる特有の環境影響をASC認証が考慮していることを保証するものです。
改定版ASCエビ基準
本改定で4つの淡水種属が規格に追加されたことにより、世界中で養殖されているエビの99%がASC基準の対象になります。今回エビ基準に追加された4種属は、Cherax、Procambarus、Astacus、Macrobrachiumです。
ASC基準及び科学担当ディレクターであるミヒール・フランセンは、次のように述べています。「今回の改定で、ASCが潜在的にもたらすであろうプラスの作用が拡散します。環境面や社会面への責任を求めるASC認証取得を、より多くの養殖場が申請できるようになりました。」
「改定されたASCエビ基準は世界で養殖されているエビの大部分を認証の適用魚種として含むこととなります。認証を取得することで得られる利点の数々を考えれば、養殖場、労働者、環境、地域社会の全てにおいて、良いこと尽くめと言えましょう。」
絶え間ない進歩と協力を目指すASCの取り組みの一環として、全てのASC基準は、複数の利害関係者から構成される専門家チームにより、定期的に見直し、改定されています。公募によって集められたフィードバックも考慮に入れています。今回のエビ基準の改定には、重要な新しい種が追加されただけでなく、基準が現状取り得る最善の措置を反映するためのさまざまな更新が取り入れられました。
ASCのRAS(閉鎖循環式)規格の新設
RAS(閉鎖循環式)養殖場は、循環ろ過システムを使い、陸上に設置可能な施設での水産物の養殖を可能にしています。これにより、養殖場経営と連携する一定の影響を減らすことができますが、エネルギーや水の使用、排水の処理など、他の潜在的な影響を増加させます。
RAS(閉鎖循環式)養殖の利用増加を鑑みて、私達は、RAS養殖場専用の新しい要求事項を含むRAS規格を策定しました。この新規格には、エネルギー監視や排出量削減のための戦略策定、水資源への悪影響の最小化などの要件が含まれます。RAS養殖場は、養殖している魚種特有のASC基準の要件を全て満たすことに加え、RAS規格の要件も満たす必要があります。
ミヒール・フランセンは次のように述べています。「養殖業界は変化の速い、革新的な業界です。よって、私達も、ASCプログラムを常に見直し、業界の最善の技術を反映し適応する必要があります。
RAS(閉鎖循環式)養殖場は他の養殖方法と同様に、様々な影響を及ぼします。ASCでは、どれかひとつの養殖法が特別に他より優れているとは考えていません。重要なことは、特有の影響がきちんと考慮されていて、かつ、負荷を最小化されているかどうかです。」
今後は、今回の新しい改定事項が施行され、義務付けられるまでに6カ月の期間が設けられ、この間に養殖場や審査員は、変更点や追加事項を理解し導入して頂くこととなります。