世界初、ASC養殖場基準の認証を取得した養殖場が誕生
3月 30, 2026
構想から実践へ:責任ある養殖における世界的な節目
スペイン・カディス州、2026年3月30日 — Aquaculture Stewardship Council(ASC)は本日、責任ある養殖における世界的な節目を迎えました。スペイン南部にある家族経営のスズキ・タイ養殖場CUPIBAR(Lubimar)が、世界で初めてASC養殖場基準(ASC Farm Standard)の認証を取得しました。
先駆者としてのリーダーシップ
今回の認証は、Lubimarにとって初めて取得するASC認証です。同養殖場は、既存の魚種別ASC基準から移行するのではなく、最初からASC養殖場基準に基づく審査を受けることを選択しました。これは、より包括的で厳格な要求事項に最初から取り組む姿勢と自信を示すものです。
Lubimarは、カディス州にある自然保護区域「Parque Natural de la Breña y Marismas del Barbate」内に位置しています。かつての塩田を活用した独自の汽水域システムにおいて、年間約2,000トンの魚を生産しています。
今回の認証は、養殖業界にとって歴史的な瞬間です。自然や地域社会、そして高いアニマルウェルフェアへの期待と調和しながら魚を育てることが、単なる理想ではなく、1つの強固な基準のもとで実践可能であることを示しています。
スペイン国内で広く知られ、15か国以上で販売されているLubimarは、「Lubina y Dorada de Estero」というブランド名で販売されるスズキとタイがよく知られています。このブランドは、伝統的な汽水域養殖と深く結びついています。
同養殖場は品質の高さで高い評価を得ていますが、今回の認証が評価するのはそれだけではありません。人、地球、養殖場、魚に対して、長期的かつ責任ある養殖を実践し、測定可能な成果を生み出していることが認められたものです。
自然とともに営む養殖:生態系と地域社会の再生
Lubimarは、非常に低い飼育密度を特徴とする広域型の汽水域養殖システムを採用しています。魚の飼育密度は、水1立方メートルあたり最大3kgです。
養殖場全体は700ヘクタールに及びますが、そのうち実際に養殖に使用されているのは35%のみで、残りは自然区域として維持されています。この自然区域は養殖場の運営に不可欠な役割を果たしています。
この自然区域は、養殖活動による影響を和らげる生物学的フィルターとして機能し、エビなど魚の自然な餌を提供するとともに、多様な生態系を支えています。
低密度の養殖モデルは、魚の健康と福祉を支え、抗生物質を使用しない養殖を可能にしています。
また、Lubimarではスズキとタイの養殖に加えて、海藻の育成・採取も行っており、過去にはカキの養殖も行っていました。このような複合的な養殖アプローチは、栄養塩の循環や炭素固定にも寄与しています。
さらに、同養殖場では生産エリア内にソーラーパネルを設置し、再生可能エネルギーの活用も進めています。
LubimarのセールスマネージャーであるGontran de Ceballos氏は、次のように述べています。
「私たちがこの地に来た当初、池は放棄された塩田であり、養殖事業も成功していませんでした。しかし、私たちの養殖方法によって生物多様性が戻り、現在では敷地の大部分が野生生物の生息地となっています。フラミンゴ、ヘラサギ、ミサゴなどの鳥類も見られるようになりました。」
「低密度で広域型の養殖モデルを選択したのは、魚の福祉と環境への責任を長期的に考えた結果です。この事例は、養殖が繊細な自然環境と共生しながら運営できること、そして雇用機会が重要な地域社会において、熟練した仕事を提供するという重要な社会的役割も果たせることを示しています。」
Gontran de Ceballos, Lubimar セールスマネージャー
養殖場周辺の再生された自然区域には、現在フラミンゴも生息しています
責任ある養殖の新たな基準
ASC CEOのChris Ninnesは、次のように述べています。
「Lubimarチームの皆さま、この画期的な成果を心より祝福します。ASC養殖場基準に直接基づく認証取得を目指した決断は、大きなメッセージを発しています。これは、基準が設計段階から実践段階へ進み、先進的な養殖場が、業界全体の基準となる単一の科学的枠組みに基づいて評価を受ける準備ができていることを示しています。」
「私は最近この養殖場を訪問し、その運営を実際に見る機会がありました。Lubimarが独自の自然環境とどのように向き合い、魚の福祉をどのように管理し、日々の運営に責任ある取り組みをどのように組み込んでいるかを目の当たりにしました。まさにASC養殖場基準が評価し、推進しようとしている姿そのものです。」
「この養殖場は自然環境と非常に密接に共生しており、ASC養殖場基準の一部要求事項を上回る取り組みも行っています。地域の自然環境を再生し、多様な野生生物が生息できる環境を取り戻したことは、本当に印象的です。」
「ASC養殖場基準は、ASCの科学的根拠に基づく要求事項を1つの厳格かつ透明性の高い枠組みに統合した、業界における新たなベンチマークです。この基準は、環境パフォーマンス、社会的責任、魚の健康と福祉、養殖場管理の向上を業界全体で促進します。また、さまざまな養殖システムや魚種に適用することが可能です。Lubimarによる認証取得は、この基準が現場で実際に適用可能であることを示すとともに、最初から高いレベルで取り組むことで何が可能になるのかを示しています。」
養殖場の視点:最も高い基準を選ぶということ
「ASC養殖場基準に直接基づく審査を受けることは、私たちにとって意図的な決断でした。世界で初めてASCの“ゴールドスタンダード”を取得することで、自分たちの養殖の取り組みを示したいと考えたのです。」
「環境管理から魚の福祉、人々に対する責任まで、自分たちの運営を深く、率直に見直す必要がありました。厳しいプロセスでしたが、養殖場とチームをより強くしてくれました。世界で初めてこの認証を取得し、業界の新たな基準づくりに貢献できることを大変誇りに思います。」
ASC CEOのChris Ninnesが、世界で初めてASC養殖場基準の認証を取得したLubimarチームを祝福
第三者認証の実践
認証審査を担当した認証機関DNVのGlobal Market & Industries DirectorであるStefano Crea氏は、次のように述べています。
「Cupibar養殖場を対象としたLubimarへの認証は、厳格かつ独立した審査・認証プロセスの成果です。現地審査、インタビュー、文書確認を通じて、LubimarおよびCupibarの従業員は、改善に向けた強い意欲と取り組みを示しました。」
「不適合が確認された場合には、新しいASC養殖場基準および保証要求事項に沿って、期限を定めた是正措置が実施されました。これこそが、持続的な改善を進め、透明性を維持するための方法です。」
「Lubimarは、スズキおよびタイの養殖を対象としており、養殖業界の成長を示す好例です。新しいASC養殖場基準は魚種横断的に適用可能であり、養殖業界の拡大に対応しながら、高いレベルの審査、トレーサビリティ、信頼性を維持するための基準や認証制度の必要性を反映しています。」
世界の養殖場への呼びかけ
Lubimarは、世界で初めて認証を取得した養殖場であり、ASC認証取得の第一歩としてASC養殖場基準を選んだ最初の事例でもあります。
Chris Ninnesは最後に次のように述べています。
「認証を取得することで、養殖場は自らの取り組みを証明し、業界全体に前向きな変化をもたらすことができます。そして、生態系の保全、地域社会の支援、養殖水産物の福祉の確保において、現在そして将来にわたり重要な役割を果たすことができます。」
「世界的に機運が高まる中、より多くの養殖場が認証取得に挑戦し、責任ある養殖への取り組みを示していくことを期待しています。」