検索

Go directly to content

ASCが養殖場基準の更新に重要な判定基準に関する利害関係者とのコンサルテーションを開始

9月 19, 2023

継続的な改善と透明性へのコミットメントの一環として、水産養殖管理協議会(ASC)は、2023年9月1日から10月31日まで60日間に及ぶ利害関係者とのコンサルテーションを本日より開始します。対象となる3つの主要分野は、クリーナー・フィッシュの健康と福祉、エビの健康と福祉、生活賃金の指標です。

これら3つの項目は、新しいASC養殖場基準の開発において極めて重要です。新しい養殖場基準は、2024年秋に発表、2025年秋に発効が予定されており、ASC認証制度に一層の一貫性をもたらすことが期待されます。

ASCはまた、「魚種拡張プロジェクト」と、「自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意(FPIC)」のASC養殖場基準への追加に関し、考慮事項(ToR)へのフィードバックも模索しています。

利害関係者の参加は、認証制度にとって重要な要素であり、ASC基準に幅広い知識、専門性と業界への期待を反映させることを確保するものです。

クリーナー・フィッシュの健康と福祉指標

2022年9月と10月に行われた魚の健康と福祉に関する前回のコンサルテーションで寄せられた利害関係者のフィードバックに応えて、ASCはクリーナー・フィッシュをASC養殖場基準の健康と福祉の内容の一部に含めることを決定しました。この決定を念頭に、既存の指標の適用範囲が拡大され、あるいは若干の修正を加えられ、また必要に応じてクリーナー・フィッシュに対応する新たな指標が作成されました。この作業は、クリーナー・フィッシュの専門家で構成される技術作業部会(TWG)の協力を得て進められました。

対象となる項目には、孵化場由来、天然捕獲由来、日常的な健康と福祉、医薬品、ハンドリング、締め、サケ生産サイクル終了時のクリーナー・フィッシュの再利用などが含まれます。コンサルテーションの目的は、提案された内容が適切かどうか、不足している項目がないかどうかを確認することです。

ASCは特に、生産者、一次加工業者、小売業者、NGO、審査員、学術界からのフィードバックを是非お願いしたいと考えております。

エビの健康と福祉 – 福祉指標

ASC認証製品の生産量において重要な魚種であるエビ産業の成長と成功は、持続可能で責任あるエビ養殖の実践に支えられていなければなりません。

エビという魚種特有のニーズ、並びに、2022年9月と10月に行われた利害関係者によるコンサルテーションで寄せられたフィードバックを踏まえ、エビの健康と福祉を対象とした指標に関する一連の提案を作成するため、ASCは専門家からなるエビ技術作業部会(TWG)を招集しました。これは最初の提案よりもさらに踏み込んだものです。

提案の基盤となっているのは、ASC養殖場基準(基準2.14と2.16)およびエビ基準v1.2で現在提案されている健康と福祉指標の改訂、エビに対応する既存指標の最大限の再利用、並びに、未だ網羅されていないエビ特有の慣行や状況に関する新たな指標などです。

本提案では、エビの原産地、病気へのかかりやすさと眼柄切除、魚の健康と福祉のモニタリング、ハンドリング、締め、動物用医薬品などを取り上げています。

ASCは特に、東南アジアおよび中央アメリカの生産者、一次加工業者、小売業者およびブランド、審査員、NGO、学術界、研究機関からのフィードバックをお待ちしています。

生活賃金指標

2019年12月、ASCは、より広範な認証イニシアティブに関与し、生活賃金に関する取り組みを開始するため、グローバル・リビング・ウェイジ・コーリション(GLWC)に参加する政策提言を承認しました。2022年3月の利害関係者とのコンサルテーションで寄せられたフィードバックに応え、ASCは2023年1月、生活賃金指標と生活賃金体系の開発を承認しました。

判定基準の目的は、ASC認証養殖場が全従業員に法定最低賃金以上の賃金を支払いながら、賃金の継続的改善に取り組むことです。

これらの新規指標草案には、賃金と給付の測定、賃金と生活賃金のベンチマークとのギャップの把握、改善と報告に関する指標が含まれています。

ASCの生活賃金要件は、GLWCとその研究パートナーであるアンカー研究所(ARI)から取り入れたものです。これには、GLWCの生活賃金の定義を用いること、報酬(現金で支払われる賃金、並びに、許容される現物給付、およびボーナスを含む総報酬)の算定にARIの方法論を採用すること、ARIの生活賃金ベンチマークがある場合は、それを用いて労働者の現在の報酬とその地理的位置における生活賃金の格差を測定すること、などが含まれます。

ASCは、生活賃金の指標草案が、利害関係者の期待に沿って、賃金をめぐる主要な社会的・人権的問題を本当に取り上げているのか、提案されている指標は認証機関(CAB)の観点から審査可能なのか、産休中の労働者に給与の最低3分の2を支払うという要件がどのような影響を与えるのか、について理解したいと考えています。

次のステップとタイムライン

利害関係者とのコンサルテーション後、ASCは受け取ったフィードバックを集約し、2024年1月の技術諮問部会(TAG)へのASC養殖場基準のプレゼンテーションに反映させます。完結したASC養殖場基準は、承認を経て、2024年春に利害関係者との最終コンサルテーションに提出されます。同基準は2024年秋に発表され、2025年秋に発効する予定となっています。

詳細については、アライメント:ASC養殖場基準のページをご覧ください。

魚種拡張プロジェクト:ナマズに関する考慮事項(ToR)

ASCはまた、魚種拡張プロジェクト:ナマズのToRへのフィードバックを求めています。

コンサルテーション期間は2023年9月1日から9月30日までの30日間となっています。

ASCは現在、あらゆる魚種固有の基準群を一律のASC養殖場基準に統合している最中であり、これ以上、魚種固有の基準が開発されることはありません。かわりに、魚種の範囲拡張手順の構築が進行中で、これは基準設定手順に追加されます。その目的は、ASCのポートフォリオに新しい魚種を追加するプロセスを効率化することです。

魚種の拡張プロジェクト:ナマズは、複数のナマズ種(Clariidae spp.、Ictalurus spp.、Silirus glanis)をASC養殖場基準の適用範囲に含めることを目標としています。魚種固有の指標と、また必要であれば新たな指標要件が追加されます。今回の作業はASC基準策定手順に沿って行われます。

ASCは養殖過程やデータの利用可能性に関する知見を求めており、特にナマズ養殖場、養殖資材サプライヤーやサービスプロバイダー、加工業者、小売業者やブランド、監査官、地域社会、NGO、学術界や 研究機関、政府からのフィードバックを歓迎します。

こうしたフィードバックは、魚種固有の測定基準や新しい指標要件の開発に役立ちます。フィードバックは2024年秋に利害関係者のコンサルテーションに提出され、詳細は追って発表される予定です。

自由意思による、事前の、十分な情報に基づく合意(FPIC)をASC養殖場基準に盛り込むための考慮事項(ToR)

最後に、ASCは、自由意思による、事前の、十分な情報に基づく合意(FPIC)プロジェクトの考慮事項(ToR)に対するフィードバックを求めています。これは、FPICの概念を将来的にASC養殖場基準へ組み込む可能性も視野に入れてのことです。

コンサルテーション期間は2023年9月1日から10月31日までの60日間となっています。

FPICは先住民族の権利を保護する人権法の重要な原則です。

2023年前半に行われた初期の適用範囲検討段階では、この問題の複雑さと繊細さ、そして水産養殖セクター全体の二極化の度合いが浮き彫りになりました。

ASCは、すべての利害関係者、特に先住民の代表者、ASC認証養殖場、そしてすべての魚種に対応する認証取得を目指す養殖場、NGO、学術界、このテーマに取り組む政府機関、さらには加工業者、小売業者、消費者、審査員からのフィードバックを歓迎しています。

FPICの原則に従ったコミュニティ参画の実施可能性は、各国の法的枠組みに依存するため、ASC養殖場基準に完全なFPICプロセスを含めることは不可能かもしれません。その場合、プロジェクトは代替指標の策定に切り替わります。ASCは、2025年に利害関係者のコンサルテーションの場で指標草案を提示し、詳細については追って発表する予定です。

 

Confidental Infomation