新たな養殖場基準の最終決議を前に、ASCはフィードバックを公募しています
4月 12, 2024
水産養殖管理協議会(ASC)は、新しいASC養殖場基準の内容を確定するために、利害関係者・コンサルテーションの最終協議を開催します。コンサルテーションが終了する5月20日(月)に先だち、関係者の皆様からのご意見を募集いたします。
新しいASC養殖場基準では、既存の魚種基準を単一のグローバルかつ厳格な基準に統合し、ASC制度の一貫性を高め、サプライチェーン全体にわたって最高水準の保証を支援しています。
ASC養殖場基準は、生産システムや養殖場の場所に関係なく、水産養殖に関連するすべての環境および人権への影響に取り組んでいます。
基準には、水産養殖の環境的および社会的影響に対処するための主要な分野での新しい要件に加えて、既存の要件の強化が盛り込まれています。また、この基準により、ASCは市場の需要に応じた新しい魚種や生産システムの追加が可能となります。
ASCの基準・科学担当ディレクターであるミヒール・フランセンは、次のように述べています。「コンサルテーションの最終ラウンドへの積極的にご参加いただくことを、すべての利害関係者の皆様のご参加をお待ちしております。生産者、小売業者、学術研究機関、NGOなど、私たちの活動に興味をお持ちの方のご意見を募集いたします。皆様の期待、専門知識、知見がASC養殖場基準の策定に確実に反映させたいと考えております。」
ASCが水産物基準の策定を引き続き実践するためには、利害関係者の皆様の加勢と参加が重点になります。また、コンサルテーションの場では、今後の方向性をより大きくとらえるために、ASCを評価できる点あるいは改善が必要な点について、利害関係者の皆様からのご意見を述べて頂くことも可能です。
ASCの新養殖場基準の内容
ASC養殖場基準の内容は、4つの原則に分かれています。市場の主要な懸念事項に対処するためのASCの新しいアプローチの一環として、新たに制定された第4の原則に魚の健康と福祉が取り込まれました。
原則1 – 養殖場経営
この原則は、法的および効果的な事業運営に適用されます。新しい基準には、管理システムと企業倫理の要件が含まれ、トレーサビリティと開示の要件に関する既存の基準が改善されています。全体として、この原則は、不正行為や贈収賄を防止する文化を維持するための国内法や規制を強化し、食品詐欺に対処し、トレーサビリティと製品の完全性をサプライチェーン全体で向上させることに役立ちます。
原則2 – 環境的責任
この原則は、養殖場を取り巻く生物多様性と生態系への影響を最小限にするため養殖業者が実践する慣行に焦点を当てています。新しい基準には、水質、エネルギー使用、温室効果ガス(GHG)排出量が含まれ、既存の飼料工場、孵化場、中間養殖場、環境リスクおよび底生動物への影響に関する要件が改善されました。GHG排出量やライフサイクルの初期段階からの影響など、消費者やNGOが関心を持つ主要な分野を基準に含めることは、小売業者にとって潜在的なサプライチェーンのリスクを緩和することに役立ちます。この原則はまた、データ報告の一貫性の向上をサポートします。
原則3 – 社会的責任
原則3の社会的要件は、あらゆる水産養殖認証制度の中で最も広範に人権問題を網羅しています。
新たな基準には、養殖場従業員の人権意識を確保するための要件、既存の強制労働と児童労働、健康と安全、差別と苦情処理メカニズムの要件の改善が含まれます。ASCは、養殖場基準の実施を支援するために、労働者の声と地域社会の関与に関する広範なプロジェクトに取り組んでいます。これらの分野における進展は労働条件の改善を支援し、欠勤を減らし、養殖場従業員の定着率を向上させることで、より積極的で効果的な労働力をもたらすことでしょう。
原則4 – 魚の健康と福祉
この原則では、魚類の荷役、気絶、締め方に関する要件を扱います。また、エビ生産者向けに、エビの眼柄切除を制限する要件を含みます。ASCでは、全生産者に抗生物質の使用を制限しています。これは、抗生物質への依存を減らすために世界保健機構(WHO)が推奨している「ワンヘルス(One Health)」のアプローチに沿って、抗生物質の使用を削減するASCの長期的なアプローチを後押しするものです。
ASC魚の福祉基準コーディネーターのマリア・フェリパ・カステンヘイラは、次のように述べています。「生産者が責任ある慣行をサプライチェーンパートナーに明確に示す際、こうした動物の健康と福祉に関する明確な要求事項が有用であると、私たちは確信しています。中でも、魚類の福祉指標、気絶、締め方に関する要件は、動物のストレスレベルの低下とより良い福祉に貢献し、最終的には、製品の品質の向上、生存率の向上、疾病予防に関連した支出の削減に貢献するでしょう。」
次のステップ
コンサルテーションの最終ラウンドは、最短でも24カ月に及ぶ養殖業者の適切な移行の枠組みを判定する目的で実施されます。ASCは、2025年9月に養殖業者の移行期間を確定する予定です。承認後、新しい養殖場基準は2025年初めに発効する予定です。
ASCのクリス・ニネスCEOは、次のように述べました。「この新しい基準は、ASCの様々な背景を持つ利害関係者の長年の経験、研究、意見を結集したものです。これは、ASC認証のみならず、責任を持って生産された全世界の養殖水産物にとって画期的な出来事です。水産物の基準を設定する私たちの活動を誇りに思います。」
コンサルテーションに参加するには、こちらのリンクから
コンサルテーションの詳細とご自身の回答を提供するために必要な資料は下記をご参照下さい。
ASCの新しい養殖場基準 – 利害関係者とのコンサル テーション
4.3 魚の健康と福祉 – 魚の締め 方 4.4 エビの健康と福祉 – エビの 締め方
不明な点がございましたら、consultation@ASC-aqua.orgまでご連絡ください。