
リーガル・スプリングスに乾杯: 世界で最初のASC認証養殖場が記念すべき10周年を迎えました
9月 23, 2022
10年前の8月15日に、インドネシアのスマトラ島トバ湖にあるリーガル・スプリングスというティラピア養殖場が、世界で最初のASC認証を受けました。
それ以来10年間で、世界中の1,700を超える養殖場がASC基準を満たし、ASC認証を取得しています。この結果、現在では、年間約250万トンの水産物および海藻が水揚げされ、水産養殖業における環境的および社会的責任に向けた極めて重要な変革が続けられています。
今日までに、リーガル・スプリングスのトバ湖のティラピア養殖場は、ホンジュラスとメキシコのティラピア養殖場と並んでASC認証を受けています。
「私たちは、ここ、リーガル・スプリングスがパイオニアであることを非常に誇りに思っています」と、リーガル・スプリングスのヨーロッパ担当マネージングディレクター、ペトラ・ヴァイグル氏は述べています。「そこで、当然ながら、インドネシアで始めた認証取得をホンジュラスとメキシコにも拡大したのです。」
「ASC認証のおかげで沢山のメリットがありました。データを十分に整理するなど、ASCの審査と報告の過程で透明性を維持できますし、飼料調達から収穫までのトレーサビリティ(追跡可能性)を改善できました。来たるべきASC飼料基準によって、われわれは、飼料調達をさらに改善し、養殖場内と外部関係者に対しての社会的責任を継続的に向上させられるでしょう。」と、リーガル・スプリングス・インドネシアのマネージングディレクターであるルドルフ・ホッフェルマン氏は述べ、さらに次のように続けました。「ASC認証は、持続可能性とベストプラクティスを、体系的かつ明確な方法で利害関係者や顧客に伝える手助けとなります。」
このティラピア養殖場は、ASC設立当初から2年後に認証されました。当時、ASC認証を受けることができたのは、ティラピアとパンガシウスの2種類の養殖場だけでした。2022年現在では、11魚種のグループに対してASC基準が用意されており、こうした魚種の養殖場がASC認証を目指すことができます。この魚種グループには、アワビ、二枚貝(アサリ、ムール貝、カキ、ホタテ)、カレイ目、淡水マス、パンガシウス、サケ、スズキ・タイ・オオニベ、ブリ・スギ類、エビ、ティラピア、熱帯魚類が含まれています。あらゆる種類の海藻用に、ASC-MSC共同基準もあります。
ASCのCEOクリス・ニネスは、こう述べています。「どの旅も第一歩から始まります。今日、8月15日は、水産養殖業を変革する私たちの道程にとって、重要なマイルストーンになりました。2012年にインドネシアで最初の養殖場が認証されると、養殖場の生産者から世界中の市場まで、あらゆる利害関係者に大きな影響の波紋が広がりました。この責任ある水産養殖への移行を実現できたのは喜ばしいことです。これに力を得て、今後10年間で、この影響を大きく拡げることに努力していきたいと思います。」
生態系の管理者
リーガル・ スプリングスのティラピア養殖場は、世界最大の火山湖であるトバ湖にあり、魚を生産しながらも、清潔で健康的な生態系を保つことは不可欠です。湖は1,100平方キロメートル以上の広さで、深さは500メートル近くまであります。深くて澄んだ水は、健全な地域社会、生物多様性、そしてティラピアにとって鍵となるもので、リーガル・スプリングスでは、トバ湖の素晴らしい淡水生態系の保護に細心の注意を払っています。
「私たちは、自然の湖の環境にほとんど影響を与えない生け簀を使用しています。」とヴァイグル氏は述べています。「水質を継続的に監視して、酸素が豊富で、養殖場の活動により水質が悪化していないかを確認しています。丈夫で健康なティラピアを育てることができ、添加物を完全に使用しなくて良いなど、高い水質のおかげでリーガル・スプリングスのティラピアの品質に直接影響のある要素は、他にも数多くあります。」
リーガル・スプリングスは、廃棄物ゼロまたは「魚まるごと」ポリシーを順守しています。食料品店で一般的に見られる切身に使われるのは、ティラピアの全身の約3分の1だけです。皮、うろこ、骨、肝臓など、残りの魚肉は他の産業で使用されます。トバ湖のティラピアは、栄養補助食品、医薬品、化粧品、肥料、さらにはファッション(ティラピア皮革) の形で役立っています。リーガル・スプリングスではまた、ティラピアの魚油をバイオ燃料に転用し、会社の貨物搬送車やその他の機器に動力を供給しています。

地元の村と手を取り合って
トバ湖地域で最大の雇用主に数えられるリーガル・スプリングスは、400人を超える従業員を雇用しています。ASC認証では、厳格な環境基準だけでなく、公正な賃金と労働時間、健康と安全の要件、労働組合の結成、地域社会との協力などを網羅した、強力な社会的責任基準を満たす必要があります。
リーガル・スプリングスは、従業員向け健康保険制度や温かい食事の提供、社内診療所、さらに、従業員やその家族、近隣の村への無料医療提供などの社会福祉に取り組んでいます。
また、教師を雇用して識字および英語教育を提供し、森林再生活動を主導するなど、地域参画プロジェクトに参画しています。

おいしくてヘルシーなティラピア
ティラピアは、環境認証だけでなく、多くの健康上のメリットも備えた魚です。高タンパクで低カロリーのティラピアは、優れたオメガ脂肪酸の供給源で、牛、鶏、豚を含む陸生動物の肉に比べ、一食あたりのオメガ3がより多く含まれています。ビタミンB12、C、E、カルシウム、マグネシウム、カリウム、リン、セレン、ナイアシン、葉酸などの栄養素も豊富です。
ティラピアはまた、水銀濃度の低い、調理しやすい万能な魚で、繊細な味覚の持ち主を驚かせることのない淡泊な風味を持っています。
