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飼料工場はASC飼料基準の認証を申請することができるようになりました

1月 30, 2023

ASC飼料基準の重要な節目について、水産養殖管理協議会(ASC)よりお知らせします。2023年の1月14日から、飼料工場はASC飼料基準の認証を申請することができます。この基準は、飼料工場の独自の業務と、飼料製造に使用する原料の供給者の両方に対する、法的、社会的、環境的要件を網羅しています。ASC認証養殖場は2025年1月14日まで、つまり24カ月以内にASC準拠の飼料に切り替えることで、ASC養殖場基準を引き続き満たすことができます。

ASC飼料基準は、水産養殖に対する環境と社会的影響の最大の要因の一つである、飼料とその原料の製造に取り組んでいます。藻類を除く養殖生産の70%以上は飼料に依存しており、それが養殖の環境的、社会的影響を大きく左右しています。ASCは、すべての主要な飼料原料の責任ある調達を義務付けることで、サプライチェーンと原料レベルの両方の問題に対処していきます。また、実績報告に関する要件は、養殖飼料のサプライチェーン全体に比類ない透明性をもたらすことで制度の保証を向上させ、さらに、環境サステナビリティに報い、責任ある飼料に関する将来の研究を支援します。

責任ある飼料調達により世界に食料を供給する

ASC最高責任者であるクリス・ニネス氏は、陸上を含む資源への影響を最小限に抑える一方で、増加する世界の人口に食糧を供給するために、養殖用飼料の責任ある調達は必要不可欠と述べています。国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2022年度の世界漁業・養殖業白書 (SOFIA)によると、2020年の水産物の総生産量は2億1300万トンに達し、何十億人もの人々に重要な動物性タンパク源を提供しています。

「水産養殖は、重量で58%、金額で67%の生産量を提供しており、水産養殖によるマクロ栄養素は世界の食糧安全保障に不可欠でありながら、過小評価されています。幸いなことに、養殖水産物は、陸上で飼育される家畜からのタンパク質よりもはるかに低いカーボンフットプリントで、これらの食糧安全保障と栄養上の利点を提供しています。」

「給餌式の生産による魚や無脊椎動物はますます増えており、2020年には6300万トンの魚が給餌されたのに対し、無給餌魚は2430万トンでした。これは養殖と農業の関連性が拡大していることを意味します。養殖魚のエサに含まれる魚粉や魚油には否定的な意見が多い一方で、肉食魚の食料の85%を占める陸上植物原料の影響はほとんど無視されています。」

「水産物を責任を持って養殖するためには、飼料原料の生産に伴う、川上での影響を監視・低減し、社会的責任と環境改善に重点を置くことが不可欠です。新しいASC飼料基準が果たす役割は、まさにこのような改善を促すことです。そしてそれは、世界の食糧システムにおいて養殖水産物の重要性が増していることを考えると、世界の人口が増加するにつれ、ますます重要になってきています。この重要な分野で使用される飼料が、ASC飼料基準で規定された総体的なアプローチによって責任をもって調達されていることを確実にすることは、持続可能な水産養殖を達成するために不可欠です。ASC飼料基準が、飼料原料のサプライチェーンにおける主要な労働要件を守り、森林破壊や土地転換のリスクを軽減・削減しようとしていることを特に誇りに思っています」 ニネス氏はそう締めくくりました。

海産原料と陸上原料の責任ある調達

認証された飼料工場は、環境に配慮した海産及び陸上原料を調達しなければなりません。ASC飼料基準では、海産原料の改善モデルを採用しており、飼料工場は徐々に責任を持って管理された漁業からの調達を増やしていくことが要求されています。ISEALアライアンスの正会員であるマリントラスト社(MarinTrust)と水産養殖管理協議会(MSC)は、この仕組みにおいて重要な役割を果たしており、改善のための重要な足がかりを提供しています。

このモデルでは、飼料工場が魚粉や魚油のサプライヤーと協力し、徐々に増加していく要求を満たすための段階的向上の仕組みを提供します。最終的には、海産原料の量の大半をMSC漁業から調達する必要があります。

大豆や小麦などの陸上植物由来の原料については、飼料工場は飼料に占める割合が1%を超える原料をすべて記録・報告し、責任を持って調達していることについて確認する手順を踏む必要があります。 同様に、飼料工場もサプライチェーンが森林破壊や土地転換に悪影響をもたらさないように努力し、コミットする必要があります。

さらに、ASC認証を受けた飼料工場は、エネルギー使用量と温室効果ガス排出量を記録・報告し、エネルギー効率の向上、自然エネルギーの使用、水使用量の改善に努めなければなりません。

飼料産業における社会的影響

飼料産業は、地域社会の経済的な基盤として貢献しています。

そのため、飼料工場にとって、社会的責任を果たすことも重要な要件の一つとなっています。これには、従業員の公正な処遇と賃金、先住民や部族民の権利の尊重、児童労働や強制労働がないことを保証することが含まれます。ASC飼料基準には、汚職、贈収賄、文書偽造の防止などのテーマに関する方針、手順、プロセスなど、その他多くの社会的かつ効果的なマネジメントシステム要件が含まれています。

ASC認証を受けた飼料工場は、これらの主要な社会的リスクを評価し、軽減するために、サプライチェーンのデューデリジェンスを実施することも求められています。

次のステップ

ASCの基準・科学担当ディレクターであるミヒール・フランセン氏は、「今後24カ月間、ASC認証取得を目指す飼料工場と生産者の、ASC認証飼料調達に向けた移行準備を支援することを楽しみにしています」と述べました。

「認証取得に向けたインセンティブをより多くの飼料工場に提供し、ASC認証養殖場からの需要増に対応してもらうことで、養殖飼料と原料が責任を持って供給されることを確実にしたいと思います。」

ASC飼料基準の詳細と、持続可能な水産業の推進に貢献する方法については、こちらのリンクをご覧ください。 認証取得を希望する飼料工場は、こちらのウェブサイトで詳細をご覧ください。

ASC飼料基準v1.01

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