中国のグオリアン・アクアカルチャー社、世界初のASC認証ザリガニ養殖場に躍進
7月 28, 2023
グオリアン(益陽)ザリガニ繁殖バイオテクノロジー有限公司はこのほど、責任ある水産物養殖のためのASC認証を取得した世界初のザリガニ養殖場となりました。
ASC認証を受けたグオリアン社のザリガニ養殖場は、中国湖南省益陽市のグオリアン(益陽)ザリガニ繁殖科学研究基地にあります。この850ヘクタール(2,100エーカー)の研究基地は、グオリアン社と中国工程院の産学共同研究です。この養殖場の年間生産能力は、2,000トンのレッド・スワンプ・ザリガニ(Procambarus clarkii)です。
「ASC認証を受けた世界初のザリガニ養殖場であることを誇りに思います」とグオリアン・アクアカルチャー・グループ社長のチェン・ハン氏は語りました。「ASC認証は国際的に有名で、水産養殖業界におけるゴールドスタンダードとして高い認知度を誇ります。認証の取得は、ザリガニ養殖の変革と改善を目指すグオリアン社の積極的な努力を証明するものです。」
ASC認証取得に向けた大きな変革
「ASC認証を取得するために、私たちはいくつかの面で養殖の管理法を変えました」と、グオリアン社ザリガニ繁殖科学研究基地の技術責任者であるリー・チャンビン博士は語りました。「ASC基準の要件を満たすために、私たちは技術的な大きな課題に直面しました。例えば、品種の選定や逃亡管理などです。同時に、水質、魚病予防と管理、飼料など、その他の要件も満たしています。」
ASCエビ基準にはザリガニも含まれます。より具体的には、マクロブラキウム属、チェラックス属、プロカンバルス属、アスタカス属、及び、ペナエウス属の魚種が含まれます。養殖場で使用されるザリガニの種苗が高品質の個体から得られたものであることを確認するため、種苗のトレーサビリティ(追跡可能性)が基準の要件です。ザリガニの種苗の品質が悪く、生存率が低すぎると、ASCの要件を満たすことができません。種苗の品質が良ければ、生存率、産卵率、孵化率が高くなり、養殖場の生態資源が持続的に利用されることになります。
ASC認証には、厳格な逃亡管理プラクティスも要求されます。中国では100年近く前から養殖が行われているザリガニですが、いまだに外来種であり、野生のザリガニの無秩序な増殖は中国の法律で厳しく制限されています。
中国でザリガニに最も適した生息地は長江流域の、水田農家が昔から経済的に苦戦してきた地域です。近年、水田でのザリガニの季節養殖は重要な産業となり、この地域の農村の貧困を緩和しています。水田でのザリガニ養殖は、地元農家の収入を200~300%増加させ、地域社会の生活水準を大幅に向上させています。ザリガニ養殖の経済的利益と、外来種を管理する生態学的必要性とのバランスをとるため、逃亡防止はASC認証取得のための必須要件です。
グオリアン社は様々な施策と平行して、水田の端に保護柵を、水路の入り口に隔離ネットを設置することで、逃亡魚管理に関するASC要件を満たしています。
グオリアン社がASC認証を取得した事、並びに、ASC認証を取得した責任ある水産養殖場の数が中国で全般的に増加した事を大変嬉しく思います」と、ASCのクリス・ニネスCEOは語りました。「ASC基準の厳格な要件は、中国における農地養殖の生態系保護を改善し、水産物養殖場の品質を向上させ、地域社会の生活向上に貢献しています。ASCが中国の水産養殖業の持続可能な発展のための基準設定を継続して支援することを願っています。」
中国のザリガニ養殖の年間生産量は2022年に250万トンに達し、世界最大のザリガニ生産国となりました。ザリガニの世界市場には、アメリカ、イギリス、ドイツ、オランダ、スウェーデンなどがあり、ASC認証を取得した責任ある養殖ザリガニの需要が満たされ始めています。