2022年9月1日から10月31日まで、ASC養殖場基準の改版における2つの主要テーマ、「魚の健康・福祉」と「底生動物に及ぼす影響」に関する要件のパブリックコンサルテーションを開始しました。このコンサルテーションは、特に、生産者、一次加工業者、審査員などから、提案された要件の実質的な影響と審査の適合性に関するフィードバックを収集するとともに、提案全体に対する利害関係者の意見を理解することを目的としています。

魚の健康と福祉に関するトピックを包括的に紹介

この基準は、責任ある養殖の推進を目的としており、魚病予防計画の実施と、生活環境に関する動物の身体的ならびに精神的影響からの保護を促進する適正な福祉慣行の順守に焦点を当てます。

魚の福祉に関する要件はこれまでも既存のいくつかの魚類の基準にありましたが、今回さらに新しい内容を追加し、策定中のASC養殖場基準への反映により、甲殻類、二枚貝、アワビに対しても指標を導入することを意図しています。エビの眼柄切除(片眼または両眼の突起部分を切り取ること)は、本版には含まれていませんが、現在、含める対象として検討しています。魚の福祉指標に含まれる項目は、関連性、科学的知識、商業的養殖への適用性に基づいて選択されました。

コンサルテーションで取り扱われる案では、魚の福祉を、日常業務・ハンドリング・〆方という3つの柱に分類しています。

この基準には、従業員へのトレーニングに関する詳細な要件が含まれており、特に魚のハンドリングを行う従業員に重点が置かれています。場合によっては、特定の測定基準が、様々な状況下で良好な福祉を確保するための管理システムに置き換えられるでしょう。例えば、飼育密度が適切かどうかを判断するための指標として、運用上の福祉指標  (OWI)の利用が提案されています。例えば、目や皮膚の損傷、奇形、色調の変化などを審査するような形態的指標の監視を実施する必要があります。もし、減少傾向が見られた場合、養殖場は状況を調査し、養殖密度を審査し、それに応じて修正する必要があります。

魚の混獲や通常の飼育環境下からの取り出しなど、魚との直接的な物理的接触を伴う作業を対象とした、ハンドリングの要件が含まれています。

最後に、健康と福祉の基準では、魚に不必要な苦痛を与えないような〆方が検討されます。魚の〆方におけるベストプラクティスには、(できれば機械的または電気的)気絶および責任ある〆方の両方の実施が含まれます。この基準では、窒息、二酸化炭素、塩浴、アンモニア浴、内臓除去など、魚にとって極めて好ましくないことが証明されている魚の締め方の使用を廃止することを養殖場に求めています。また、魚の気絶処置を義務付ける過程として、異なる魚種に対する現在の慣行を考慮しながら段階的に導入していく予定です。さらに、気絶処置および〆方が効果的であること、バックアップシステムが整備されていること、スタッフが福祉と〆方の実践について適切に訓練されていることを保証するための一連の要件が、ASCによって定められています。

底生動物への影響基準における主な変更点

養殖場周辺の生態系がその構造と機能を維持できるよう、養殖業者は定期的に底生動物のモニタリングを行う必要があります。ASCは、技術作業部会の支援を受けて、底生動物の生息状況を確実にモニターし、養殖場がその影響を徹底的に理解するための提案を作成しました。

海面養殖における生け簀と軟体動物の要件改訂案と淡水養殖(湖と貯水池)における生け簀の推奨アプローチについて、2022年3月から4月にかけて60日間のパブリックコンサルテーションが実施されました。寄せられた意見をもとに、要件の範囲を拡大し、汽水域や湖沼・貯水池での生産も含めることとしました。

海洋や汽水域での生け簀養殖の指標改定では、底生動物の生態学的品質状態(EQS)分類に基づく3段階のサンプリング手法を提案しています。このアプローチでは、養殖場がTier 1またはTier 2 の初期結果が設定された制限を満たさない場合、より詳細な底生動物分析を実施することになります。このように、この基準は、これらの養殖場のコンプライアンス負担を軽減することによって、優れた養殖場経営に報いるものです。

今回初めて、湖や貯水池に設置する生け簀に対する底生動物の影響に関する要件も提案しています。しかし、淡水域の多様性とこの問題に関する科学的文献の不足を考慮し、導入後の最初の3年間は、淡水養殖場は上記と同じ方法でモニタリングを行い、その結果をASCに報告するだけでよいことになっています。このような環境下での影響について理解を深め、最終的には、提案されている測定基準要件を確認することを目的としています。

次のステップ

パブリックコンサルテーションの後、ASCはすべてのフィードバックを集約し、ASCのウェブサイトに掲載するための要旨を作成します。ASC養殖場基準のパイロットテストは、2022年後半に開始される予定です。ASC養殖場基準の全容については、2023年9月に最終的なパブリックコンサルテーションが行われる予定です。

このコンサルテーションに基づく必要な変更は、2024年1月に技術諮問部会への基準全文の提出前に組み込まれる予定です。ASC理事会での承認後、2024年4月にASC養殖場基準が正式に発表される運びです。

日本語での資料もご用意しております。詳細はこちらから。

掲載日
木曜日, 01 9月 2022
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