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「世界漁業・水産養殖白書」(SOFIA)に対するASCの見解

8月 22, 2022

国連食糧農業機関 (FAO) が隔年で発行する 「世界漁業・養殖業白書  (SOFIA)」 は、水産養殖管理協議会 (ASC) にとって重要な参考文書です。白書を利用することで、業界全体にわたる基準引き上げに向けて作業の規模と範囲を追跡することが可能となります。

最新の報告は、2022年6月末に公開されました。主な論点と、それがASCにとって意味するところは、次のとおりです。

  • 水産養殖生産量は過去最高(2020年は1億2,260万トン)

2020年、水生動物の養殖生産量は、過去最高の8,750万トンに達しました。これは2018年より6%多く、2000年代の平均より30%、1990年代の平均より60%以上多くなっています。

アジアは依然として世界の水産養殖業の優位にあり、総生産量の91.6%を占めています。水生動物の他にも、3,510万トンの藻類が食用および非食用に、さらに700トンの貝と真珠が観賞用に生産され、これらを合わせた2020年の総重量は1億 2,260万トンでした。

こうした数値は、対象範囲を全世界に拡げようと目指しているASCにとって、意味のあるものです。ASCで現在、設定している11の魚種固有の基準は、水生動物の養殖生産の約45%を対象にしています。今後、養殖場の基準を調整することで、ASCはこのシェアをさらに伸ばすことができます。ASCはまた、あらゆる大型藻類および微細藻類を対象としたMSCとの共同海藻基準も扱っています。

  • 漁業・養殖セクターは、もし持続的な方法がとられるならば、増加する世界人口を養える可能性が大きい

水産物の生産量が増加するにつれ、藻類を除く水産物が世界的な食糧安全保障および栄養に貢献する量は、1961年以降、年平均で3%の割合で増加し、1人あたり20.2kgに達しました。今日の消費量は、1960年代の2倍以上です。収穫後の業務慣行の改善や食生活の傾向の変化により、水産食品の消費量は15%増加しており、2030年には、1人あたり平均21.4kgの供給量になると予測されています。

資源効率性の高い、手頃な価格の水産物を安定的に供給する上で、水産養殖はますます重要な役割を果たすことになりますが、養殖は責任を持って実施されなければ、生態系への負荷が増大する可能性があります。したがって、この白書は、より持続可能な習慣を取り入れるべく漁業・養殖セクターを変革していこうという、ASCの使命の意味深さを強調するものです。

  • 水産物の生産は何百万人もの生活を支えるが、小規模生産者の労働条件の改善も必要

SOFIAの報告によると、2,070万人が第一次産業の水産養殖に従事していますが、そのうち28%は女性です。この白書では、小規模生産者が依然として脆弱な立場にあり、時には不安定な労働条件にあることが示されています。ASC社会審査は、あらゆる魚類・甲殻類・藻類・飼料基準に含まれます。審査を受ける養殖場が、健康および安全上の要件を満たし、公正な賃金を支払い、労働者を適切に扱い、地域社会とつながっていることを保障するので、非常に大きな違いを引き出すことがあります。それに加え、ASC改善プログラムも開発されました。小規模経営、技術があまり追い付いていない業態にありがちな、ASC認証を取得できない養殖場に特化して、改善を支援しています。このアプローチは、認証プログラムをより利用しやすいものにして、世界レベルでの持続可能性と公平な開発を確保するために欠かせません。

  • 「ブルー・トランスフォーメーション」が必要

FAOは白書で、国連の持続可能な開発目標 (SDGs) を満たせる、より持続可能で包摂的かつ公平な漁業と水産養殖部門の実現を支援できるよう、的を絞った「ブルー ・トランスフォーメーション」を奨励しています。

「漁業および水産養殖の成長は、世界的な飢餓や栄養失調を終わらせる取り組みには不可欠ですが、こうした課題に対処するには、このセクターにおけるさらなる変革が必要となります。水産物が持続的に収穫され、暮らしが保護され、水生生物の生息地および生物多様性が確実に保護されるよう、私たちは水産養殖による食糧システムを変革しなければなりません。」チュー・ドンユィFAO事務局長は、こう述べました。

 ASCはつい最近、 当組織の基準、要件、および保証システムがSDG目標にどのように対処しているか調査しました。169のSDG目標のうち、49%が水産養殖業界の範疇にあり、ASCプログラムでは、17のSDG目標すべてにわたって、対象範囲内のこれら目標の80%以上に対して、適切に、または非常に適切に対処していることがわかりました。

 

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