これまでで最も包括的なASC消費者調査により、水産物が持続可能なタンパク質の供給元となることが浮き彫りに
8月 8, 2022
水産養殖管理協議会(ASC)では、12か国の12,000人以上の消費者に、水産物に関する認識とその消費についてインタビューを行い、これまでで最も包括的な消費者調査を完了しました。以下がその結果です。
健康:水産物を購入するNo.1の理由
12の市場すべてにおいて、健康が、消費者による水産物購入の主な理由で、ドイツとフランスがこの流れの先頭に立っています。消費者の80%以上が、健康上の理由から日々の買い物に魚を選ぶことが重要であることに同意しています。スペインでこの傾向が最も高く、96%というほぼ全員が同じ見方をしており、最低となったオランダでも、80%の人々がこの点に賛成しています。ただ、消費者は、2番目に言及された味の観点からも水産物が好きだと述べており、魚がバランスの取れた食事の中心的な存在だと捉えています。
持続可能な動物性タンパク質の供給元となる大きな可能性
この調査によると、ほとんどの消費者(市場により、75%~89%の間)が、水産物には環境に優しい動物性タンパク質供給元としての可能性があり、水産業が持続可能な責任のある産業となり得ると考えています。ただ、この可能性はまだ完全には現実のものとなっていません。つまり、半数以上の人が、現時点で水産業が持続可能だと認めていないのです。オランダ、ベルギー、ドイツ、フランスなど、他国に比べて持続可能性に敏感な国の消費者は、水産物業界の持続可能性がそれほど高くなく、業界が責任を担っていないと考えています。
水産物の持続可能性の改善に向けて中心となる認証スキーム
現在の水産物業界の持続可能性に満足していない一方で、業界が改善に一役買えるという点では消費者の見解は広く一致しています。5人中3~4人の回答者が、責任ある水産物の購入により、海洋にプラスの効果が出ると述べています。水産物業界の持続可能性を推進する上での認証スキームの重要性が、調査で明らかになったのです。水産業界の持続可能性と責任に関して消費者が最も信頼できる情報源としているのは、環境団体や水産物ブランド、小売ブランド、その他の供給元ではなく、水産物のパッケージにラベルを貼る、独立した認証スキームです。
ASC:グローバルな認識の高まり
養殖水産物については、ASCが最も認知されている認証スキームです。回答者の2/3がASCラベルを知っているオランダで最も認知度が高く、その後にベルギー(60%)、ドイツ(58%)、フランス(48%)、米国(46%)が続いています。一方、日本におけるASCラベルの消費者認知度は23%と諸外国と比較して遅れています。しかし、2019年の調査結果(9%)と比較しますと、すでに155%も伸びており、日本での展開が非常に期待されます。調査によると、ASCラベルへの信頼は一般的に高く、フランスでは68%、そして、イタリア、英国、米国、オーストラリアではさらに80%以上の信頼を得ています。さらに、過半数がASCロゴを持続可能性と責任に関連付けています。
より多くの情報と活性化が必要
調査ではまた、持続可能性が水産物購入の最重要事項となっている一方で、消費者が十分な頻度で責任を持った買い物をしないことも明らかになりました。水産物購入の際の要件を即興で尋ねられると、消費者は、鮮度と値段を2つの最重要事項に挙げています。持続可能性は3番目によく挙げられる要件です。
天然または養殖の水産物のいずれが良いか尋ねられと、特にスペインとフランスでは、消費者は天然のほうが良いと答えています。しかし、ほぼ同数の消費者は、特に日本、ドイツ、オランダ、オーストラリアでは、天然でも養殖でも良いとしています。 [p 20] 調査ではまた、養殖水産物に関する消費者の懸念や誤解を軽減するために、さらに多くの情報が必要だということも明らかになっています。
調査について
ASCは、責任を持って養殖された水産物とASC認証およびラベリングプログラムに関連する水産物購入者の認識、態度、信頼、活性化について、グローバルおよび各地域における進展を追跡しています。
最近完了した調査は、隔年で行われる複数市場の定量的調査の第2弾です。フィールドワークは、2021年12月23日から2022年1月24日まで、オンライン消費者パネルを介して実施されました。
米国、カナダ、オーストラリア、英国、オランダ、ベルギー、ドイツ、フランス、スペイン、イタリア、中国、日本、各国約1,000人の消費者調査が行われました。2010年の設立以来、ASCが実施した中で最も本格的な消費者調査です。