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透明性と検証可能な実績を促進するために:ASC初の持続可能な開発目標(SDGs)報告書

12月 21, 2022

水産養殖管理協議会(ASC)は、国連が全世界に提唱した17の持続可能な開発目標(SDGs)に対し、責任ある水産養殖がどのように貢献できるかを考察した報告書を公表しました。また、この報告書では、ASCがこれらの目標にどのように貢献しているかを定量化するための方法論も展開されています。

SDGs17項目のゴール、それに関連する169の目標は、2015年に193の国連加盟国すべてによって採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の中核であり、2030年を目標期日とするものです。飢餓や貧困の削減、不平等の解消、教育や健康の向上、経済成長の促進とともに、気候変動に取り組み、海や森林の保護を目標に、全世界、国、地域規模の戦略を奨励することを目指しています。

ASCとSDGsの関連性

調査結果によると、ASCは世界全体でSDGsの17項目すべてのゴールに取り組んでおり、そのうちの80%以上は「よく取り組んでいる」または「非常によく取り組んでいる」とされています。

SDGsが掲げる目標の半分弱(49%)が世界の水産養殖に、ひいてはASCの活動に該当します。ASC認証制度や関連した活動は、17項目のSDGsすべてに貢献していることがわかりました。そのなかでも特にASCが貢献しているSDGs目標は、目標2 「飢餓をゼロに」、目標6 「安全な水とトイレを世界中に」、目標12 「つくる責任つかう責任」、目標14 「海の豊かさを守ろう」、目標15 「陸の豊かさも守ろう」、目標16 「平和と公正をすべての人に」、目標17 「パートナーシップで目標を達成しよう」です。また、目標1 「貧困をなくそう」、目標8 「働きがいも経済成長も」、目標10 「人や国の不平等をなくそう」、目標13 「気候変動に具体的な対策を」の達成に関するSDGsとも、強い相互関係があることがわかりました。

図1:ASCの組織と業績に関連するSDGs

「水産養殖の改善はASC の使命の中核です。水産養殖は、人類に食糧と社会的利益を供給する上で大きな役割を果たすと同時に、海洋および陸上環境に対する悪影響を最小限に抑えるべきであると考えています。水産養殖業がどのようにSDGsの目標に沿っているのか、そして社会、環境、社会的利益に対する貢献度が目に見える形でどのように向上するか。これが非常に大事だと思っています。」ASCの最高経営責任者(CEO)であるクリス・ニネス氏(Chris Ninnes)は、こう語っています。「SDGsに関与する際の立ち位置を理解することは優先事項であり、われわれがこのような重要な成果を公表できることを嬉しく思います。」

「さらに重要なことは、SDGsを達成するための共同努力において、責任ある水産養殖業が果たす重要な貢献について、世界中の意思決定者の間で支持を得ることです。」

弊会の詳細な報告書では、SDGsと各目標をASCがどう対処しているかが、概説、定量化され、カラーマップに表示されています。また、ASCがうまく同調している部分と改善の余地がある部分についても論じています。

ASC認証の関連性を審査するだけでなく、ASCが地域社会に与える影響、あるいは地域、国、国際的な舞台で行う提言活動、グローバル・ガバナンスや市場での活動など、私たちの幅広い取り組みにも目を向けました。

また、ASC認証と非認証水産物とのギャップ分析を行いました。非認証水産養殖では、SDGsへの貢献度が単なる自己主張であったり、透明性のあるデータによって裏付けられていなかったり、第三者によって検証されていないことがあり、グリーンウォッシュ(うわべだけ環境保護に熱心にみせる行為)につながってしまう可能性があります。

データの品質:水産養殖の透明性に重要な要素

国連によると、コロナウイルスの世界的流行や、ロシア・ウクライナ危機などの最近の世界的な出来事により、SDGs目標の達成に向けた世界の進捗は全体として過去数年間で低下しています。そのため、持続可能性に関するデータの質を厳しく監視し、問うことがこれまで以上に重要になっています。

水産養殖がSDGsを達成する可能性を強調する以前にまず、水産養殖業において検証可能な実績のデータが一般的に不足していること、機会を逸していることがわかりました。主要な利害関係者である政府、金融機関、投資家が、データ品質の高さを担保するために、SDGsへの貢献実績を第三者に審査させ、透明性を高めることがますます求められるだろう、とASCは考えています。また、透明性のあるデータ開示を要求する水産養殖認証制度があれば、第三者が検証した信頼のおけるSDGsの主張を利害関係者自ら作成する代替手段として利用できるでしょうし、それはサプライチェーンのリスク軽減に役立つことでしょう。

未来への道しるべ

ASCのマーケットリサーチ&インサイト担当ディレクターであるベルトラン・シャロン氏(Bertrand Charron)は、こう述べています。「私たちはこの報告書を、環境的に持続可能で社会的に責任のある水産養殖への道のりを詳細に示したロードマップと考えており、これからは毎年、報告書を作成して2030年の目標とターゲットに対する私たち自身の進捗を確認することを目指しています。」

SDGsは、世界の多くの産業や地域に共通する、私たちが直面する持続可能性の最大の課題を浮き彫りにしています。「しかし、現在不足しているのは、最新の質の高いSDGsデータです。透明性をもって適時に水産養殖の操業実績を公開することが、業界によるSDGsへの取り組みと達成を確実にする鍵になると考えています。」

ASCは基準を策定し道を開いてきました。企業や組織がSDGsの目標達成と水産養殖のさらなる発展に貢献できるように、マッピングと実証を伴う進捗状況を客観的に数値化していくことを、ASCは期待しています。

ASCがどのようにSDGsに貢献しているかについては、こちらのページ(※英語)で詳細をご確認ください。

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